数年前にナンガのシュラフを持ってましたが、アウトドアに飽きて手放しました。しかしまたアウトドアにハマってきて、旅の一部として山に泊まって行動距離を稼ぎたいという気持ちが強くなり、新たにシュラフを購入することに。
新調するにあたり条件がありました。軽量コンパクトというのは大前提ですが、「163cmの自分にあったサイズ」というのもマスト。
当時持ってたナンガのシュラフは私には大きく足先がスカスカ。真冬は足先が紫がかるほどの冷え性持ちには辛く、また余分に大きい分だけ不要な重さになります。だから自分にジャストなサイズで足先の保温性を高めつつ、さらなる軽量コンパクト化に繋げたいのです。
となるとショートサイズやレディースモデルが狙い目になるわけですが、選択肢が少ない上にレディースモデルでもちょっと大きそうでした。たとえばモンベルのダウンハガーだと173cm対応とかなので、やっぱりちょっと大きい。(そんな真剣に探してないけど)
そこで目をつけたのがモンベルのハーフレングスシリーズ。いわゆる半シュラフですね。
半シュラフの使い方は、上半身はダウンジャケット、下半身は半シュラフというのが一般的だと思います。しかし軽量化のために行動着以外の防寒着をできるだけ持たないようにしてる私にはダウンジャケットの分だけ余計に重くなってしまう。
そこで背の低さを活かして半シュラフに全身入ってしまう作戦を考えました。足を伸ばして寝るのは難しいでしょうが、うまくいけば一般的なマミー型よりもさらなる軽量化ができます。
これは無理な軽量化ではなく、ある程度の勝算あってのこと。上述したようにかなりの冷え性なので、家でもよく脚を曲げて寝て、ふくらはぎや太ももの熱でつま先を温めるようにしています。つま先に保温する熱がなさすぎて、もこもこのルームシューズを履いてもほぼ無意味なぐらいの冷え性なので、布団に入ってても脚を伸ばすとつま先は温まらないんです。
つまり山でもどうせ脚を曲げて寝ることになるんだから、丸まってハーフレングスに全身入る作戦は私に合ってるんじゃないかなと。また山では不安で仰向けには寝れないので、どんなに大きいシュラフを使ってもどうせ横向きで脚を曲げて丸まって寝てると思う。
とはいえ試着もなしに数万円出すのはさすがに怖い。全身入れなければその時点で作戦失敗ですから。そこでモンベルに見に行ったんですが置いてなかったんですよね。どうしようかなあと迷いましたが、この作戦がうまくいけばおもしろいし、アウトレットで旧モデルの#3が安くなってたので、不安ながらも通販で購入しました。
で、実物が届いて寝てみたら「おっ、いけそうだぞ」ってことで、フリマアプリを見張って現行のシームレスの#1も買いました。#1はとりあえず確保しましたが、#3で「ハーフレングスに全身入る作戦」を試してダメそうなら売るつもりです。
いまのところ作戦は半分成功してます。工夫さえすれば使えそうだし、実際に外気温-5℃程度までは使えました。ただし脚を曲げて全身入ると膝のロフトが潰れてコールドスポットになるので、#1が活躍するような寒い時期には致命傷になるような気もする。そんなハードな山行をやったことないから想像だけど。
とまあモンベルのハーフレングス#3で数泊テストしてみたので、現時点での簡単なレビューをします。
ディテール
ハーフレングスはダウン封入部分とシェル部分にわかれていて、それぞれにドローコードがついてます。
ダウン部分の先から先までの長さはおよそ120cmでした。足先のダウンは内側にも膨らんでいて、その分だけ中のスペースは小さくなるので、実際は120cmもありません。なんとかここに肩まで入りたい。
足先にはファスナー。体温調節、足を出して歩く、頭から被って防寒着にもできます。
重さ
本体のみ実測で405g(公称値418g)。
収納袋が21g。
サイズ感
163cm/60kgの男性が足を伸ばして普通に入るとこんな感じ。
シェル部分を折り返して撮影してます。ダウン部分はちょうどみぞおち辺りまでですね。予想ではもっと深く入れると思ってましたが、足先のダウンのふくらみ
ゆとりとストレッチ性のおかげで、横向き&膝を曲げて肩まで入れます。シュラフ内で寝返りもうてます。
体育座りぐらいまで丸れば、頭の先までダウン部分に入れます。
※膝を曲げた様子とか撮影したかったけどセルフタイマーじゃうまく撮れなかった。撮れたらアップします
ざっくりと使用感
これまで使用感をざっくりと書きます。
やはり肩や膝など部分的な保温性が気になります。肩まで入るために脚を曲げると膝のロフトが潰れてコールドスポットになりますし、それでも肩がひんやりとすることがある。体育座りで頭まで入ると肩の冷えは改善されるけど、今度は膝だけでなく背中のロフトまで軽く潰れてそこがひんやりとする。
一筋縄では行かないけれど、工夫をすれば使える気もする。
テント内8℃でユニクロのボリュームダウンジャケットと併用
ちょこちょこ山と自転車を再開してたりする。飽きてる期間に、これまで揃えた道具をけっこう売り払ってしまったから、また買い直したり。 pic.twitter.com/RsdjVo9bHZ
— モージュー (@yama_chari) November 27, 2021
初めてハーフレングス#3で泊まったときの記録。
たしかシングルウォールのシェルター内が起床時で8℃ぐらいだったと思います。どの程度の保温性があるか不明だったので、ユニクロのボリュームダウンジャケットと併用して、普通に半シュラフとして使用しました。
ほかの服装はメリノウールの長袖とタイツと靴下、七分丈のズボンで寝たっけ。マットはサーマレストのリッジレストソーライト。
ポカポカするほどではないですが、朝まで寒さを感じることはありませんでした。起床時で半シュラフ側がひんやりしてるような気もしましたが、まあ問題ない程度。ドローコードをまったく絞らずに寝たのがだめだったかな。
6℃の室内で化繊キルトを併用
次は冬の室内で「ハーフレングス#3に全身入る作戦」をテストしました。自作の化繊キルトや輪行ビビィのテストも兼ねていたので、#3単体の性能は不明です。
環境や装備は以下の通り。
・就寝時22:00で室温11℃
・起床時6:00で室温6℃
・メリノウール長袖+メリノウールタイツ+メリノウール靴下
・アルミが剥がれたリッジレストソーライト+ハーフレングス#3+化繊キルト+輪行ビビィ
ダウン部分とシェル部分のコードは軽く絞ったのみで朝まで眠れましたが、起きたときに肩周りの冷えは感じました。冷えのせいで目が覚めたのではないっぽいけど、二度寝はちょっと難しかった。
また寒くてシュラフから出るのも嫌だったので、なんとか二度寝するために体勢をいろいろ試しました。効果的だったのが体育座りぐらいまで丸まってしまうこと。これは頭までしっかり入れたので二度寝できました。ただ今度は背中のロフトが全体的に軽く潰れてちょっと冷える感じがあった。
-3℃の冬でもいけた
肩周りをダウンでブーストした自作化繊キルトをテスト。肩周りの冷えは無く、改造が効いた感じ。あと「濡れてるかな?気のせいかな?」ぐらいの内部結露があった。シュラフカバーだともっと濡れてたかも。
・朝5時で外気温-3℃、テント内0度
・モンベルの半シュラフ#3
・リッジレストのソーライト pic.twitter.com/OMwPRVvm4H— モージュー (@yama_chari) February 8, 2022
2月上旬に低山でテストしました。ガッツリ冬です。
・起床5時シングルウォールテント内0℃/外気温-3℃
・レインジャケット+メッシュのベスト+メリノウール長袖とタイツ+七分丈ズボン+メリノ靴下
・リッジレストソーライト+ハーフレングス#3+化繊キルト(肩周りにダウン追加改造済み)
305g→326g
自作の化繊キルトの肩周りにユニクロのダウンを封入。ダウンの一部がまだ湿ってるから、明日測ればもうちょい軽くなるかな。 https://t.co/H9a4JZiZwa pic.twitter.com/VJfyyH4NjW
— モージュー (@yama_chari) February 6, 2022
室内のテストでやはり肩周りが冷えるのがわかったので、自作の化繊キルトの肩周りにダウンを追加する改造を施しました。これがけっこう効いたっぽくて、室内テストのときのような肩の冷えはなかったです。
ただ起床時に全体的なポカポカ感はなく、寒いってほどじゃないけどひんやりしてて二度寝はできませんでした。そもそも1時間おきに目が覚めてたので、ハーフレングスどうこうよりも、単純に気温に対してシュラフの保温性が足りなかったせいかも。あるいは、山ではビビって熟睡できたことがないので、自分の気持ちが高ぶってただけの可能性もあります。
とにかくこの装備なら外気温-3℃で凍えずに寝れることはわかりました。レインパンツや予備の着替え、湯たんぽ等を使えばもうちょいいけそう。
まだ暗い時間に寝起きで自転車乗ったら寒すぎておかしくなりそうだったから、この気温なら防寒着は追加したいな。
窮屈さ問題もなんとかなりましたね。
防寒着を持ってないので17時ごろから丸まってハーフレングスに入って朝まで過ごしました。普通サイズのシュラフに比べたら窮屈だけど、寝返りで左右を変えたり、一時的に脚を伸ばすことができたのが大きかったですね。
食事のときは足元のファスナーから被って座ってました。ダウンのふくらみで真下は見えにくいので注意が必要ですが、湯沸かしぐらいならこのままできましたよ。
足を出せば歩けるし、頭からかぶれば防寒着になる。ハーフサイズだから頭から被っても意外と邪魔になりにくかったです。被ったままトイレも行けると思う。
「ハーフレングスに全身入る作戦」の課題と改造案
いまのところハーフレングスシリーズを使いこなせる確信はないけど希望はある。工夫次第で超軽量のシュラフとして使える気がする。もちろん脚を曲げて丸まる前提なので、窮屈さとの戦いにはなるけれど、それもなんとかなりそう。
課題は部分的な冷えですね。膝のロフトを潰さないようにすると肩がはみ出て、肩までしっかり入ると今度は膝や背中の保温性が犠牲になるので、ここをうまく解決してやりたい。いずれもロフトが完全に潰れるわけではないので耐えれなくはないんですけど、不快だし寒いの嫌だしなんとかしたい。
アイデアはあるんですよ。
・シュラフカバー代わりの化繊キルトにダウンをブーストする
・シェル部分に着替えやビニール、エマージェンシーシートを詰め込んで肩の保温をする
・ダウンジャケットやベストを改造して肩周りだけの防寒着を作る
・キルトに改造して、脚を曲げても膝がロフトを潰さないように幅を出す
ハーフレングスにハサミをいれてキルトに改造するのは勇気がいるので、とりあえずはシェルに予備の着替え等をぶち込みつつ、様子を見ながらキルトにダウンブーストが無難ですかね。
※自作の化繊キルトは内外結露対策、停滞時の防寒など兼ねてるから、毎回持つ想定でいる
ダウンジャケット、ベストなどの防寒着を併用する手もあるんですが、防寒着を持つ必要がない時期にやるとハーフレングスの重量のメリットがなくなるんですよね。むしろ重くなりそう。
気温が上がるに連れて肩や膝の部分的な冷えは気にならなくなるだろうから、3シーズンは案外どうとでもなるか。そして-3℃のテストで行動用の防寒着を追加したくなったから、冬もなんとかなりそうだな。
まあ、いろいろ試します。