ツェルトに惹かれる前はアライテントのライズ1(自立式シングルウォール)を使ってました。軽くてコンパクト、そしてアスファルトの上だろうと設営できる自立式なので自転車旅には相性がいいかなと。
肩周りをダウンでブーストした自作化繊キルトをテスト。肩周りの冷えは無く、改造が効いた感じ。あと「濡れてるかな?気のせいかな?」ぐらいの内部結露があった。シュラフカバーだともっと濡れてたかも。
・朝5時で外気温-3℃、テント内0度
・モンベルの半シュラフ#3
・リッジレストのソーライト pic.twitter.com/OMwPRVvm4H— モージュー (@yama_chari) February 8, 2022
しかし使ってるうちに不満が出てきました。
・目立つ
・もっと軽くコンパクトにしたい
・フロアのダメージが気になる
・ポールの破損が気になる
特に下の2つは不満。
フロアに穴を開けないように気を使ったり、ポールの破損が絶対に起こらないようにパッキングしたり、意外とデリケートに扱わなきゃいけない部分があって、それがなんだかめんどくさくて嫌だなって。
穴あき覚悟でグランドシート無しで使ってもいいんですが、穴が開いたらせっかくのフロアの防水性が台無しになります。リペアすれば済む話ですが、現地で寝袋が濡れてから浸水に気づいたら嫌だし、フロアから浸水したときに備えて内側にシートを敷くのはフロアの意味が薄まる気もするし。
雑に扱えるように超軽量のクロスオーバードームじゃなくて丈夫なライズ1にしたんですけど、そもそもこの手のシェルターが合わなかったって感じです。そこまでデリケートに考えなくてもいいのかもしれないけど、心配性だからさ。
というわけでいっそのことフロアがない、専用ポールが必須ではないシェルターのほうが私向きなんじゃないかと考えるようになりました。
・穴が開くフロアがない
・元からフロアは隙間だらけ
・そのへんの枝をポールにして設営できる
ある意味「不完全」なシェルターならさほどデリケートに扱わなくてよさそうだ。
非自立式のツェルトが気になりだす
デリケートな扱いが大きなストレスになるぐらいなら、フロアがないフロアレスシェルターや、隙間だらけで専用ポールが必要ないツェルトのようなシェルターのほうがラフに扱えていいのではと考えるようになりました。
フロア代わりのグランドシートは交換しやすいしポールは立木や枝で代用できるので、トラブルを未然に防ぎやすく、トラブル後もリカバリーしやすそうかなと。そのほうが心配性な性格に合ってる。
そして中でもツェルトがとても気になる。
軽量コンパクト、目立たない色、透湿性、実績、テント代わりに積極利用などから、ツェルトを買うならファイントラックのツエルト2ロングを最有力候補と考えていました。
その前提で購入前に考えたツェルトの魅力は以下の通り。
・日帰りでも使える(ツェルト持ってないし、家に道具をあれこれ増やしたくないから魅力的)
・フルクローズ、タープ、フロアレス、低く張って耐風性向上、両出入り口オープンで換気性能を高めるなどの汎用性の高さ
・輪行袋として活用できる可能性(さらなる軽量化も狙える。自走かつ日帰りで山に行くならビバーク&非常用輪行袋として使えそう)
・自転車を壊れない頑丈なポールとして使える可能性(ポールが破損、もしくは代用が見つからなくても最低限の空間は確保できるし強風でも倒壊しないかも)
・目立たない色
・ツェルトを使いこなしたい気持ちがある(シンプルさがいい)
・フロアがあるため雨風や虫の侵入をある程度防げる
・フロアは隙間があり雨の程度によってはどうせ浸水するだろうから必要以上に穴や破れを気にしなくていい(浸水は防水シートを内側にバスタブ状に敷いて対策する。結露対策も兼ねて)
・軽量コンパクト(自転車をポールにできればさらに軽くなる)
・底を開いて調理可能(安心できる)
・最悪、被って過ごせる(爆風でぶっ壊れそうなときやポールになるものが全くないような場合でもなんとかなるのは魅力)
簡潔にまとめると「軽くコンパクトで、汎用性があり、破損を気にせず雑に扱える」のがよさそうってこと。
ワンポールやタープも考えた
フロアレスのワンポールテントも考えましたが、日帰りでの使用や形状変化での汎用性を考えるとツェルトのほうが好み。ワンポールでもポンチョになるやつとかあるけども、自転車を担ぐときにポンチョは邪魔だろうし、自転車をポールの代用にするならポールが幕外にあるツェルトのほうがよさそうだし。
ツェルトはこんな張り方もできるみたい。
またタープは寝るときに外が見えるのが怖いから嫌だ。どうせフルクローズで使うなら最初からツェルトにしたほうが自然な流れかなと。ツエルト2ロングは小さいけどタープになりますしね。
いつもできるだけ同じ装備で行きたいので、日帰りでも泊まりでも使える点も魅力かな。あとポールが破損してしまった後の選択肢(自転車、枝、立木、被るだけ)が豊富なのも心配性にはありがたい。
何よりツェルトを使いたい、使いこなしたい気持ちがある。ハイカーズデポのツイートに心をグッと掴まれた。
当店がツェルトにこだわるのはツェルトを設営して泊まる経験は登山者として決して無駄にならないからです。ツェルト設営はタープをはじめ、あらゆる非自立型シェルターに応用できる幕営技術の基本が詰まっています。
軽量テントとして日本で生まれたツェルトには素晴らしい可能性があります。— hikersdepot (@hikersdepot) June 8, 2020
立ちはだかる設営問題
虫や結露問題は改造やそのほかの装備との兼ね合いでクリアできる算段がつきました。耐候性についても経験や工夫でなんとかなりそうだし、そもそも活動範囲を考えると樹林帯や街に近い場所が主な宿泊地になるので問題ないはず。ただ最後まで設営問題は悩みました。
自転車旅かつめんどくさいことが嫌いであることを鑑みて自立式にしてたわけで、非自立式のツェルトを選ぶということは設営の手間や場所選びに制限がかかるということ。この設営問題をクリアできる算段がつかなければ、ツェルトの購入には踏み切れません。
設営がめんどくさい
設営の手間問題。自立式のライズ1はポールをスリーブに通せばそれだけで形ができますが、非自立式のツェルトは張り綱やらペグやら使って手間がかかりそう。
まずは設営に必要最低限の数のポールとペグを用意することにしました。ツェルトは自然物など活用して積極的に軽量化できるのが魅力の1つだと思いますが、その分調達に手間がかかりますんで、ツェルトの形ができる程度の数は持っていく。そしたら設営の流れをある程度ルーティン化できて手間を省けるはず。重くなるけど、それでも軽いし。
ポールは1本あればいい。片方はポール、もう片方は自転車で立ち上げることができるから。
また仮にポールが破損しても、ハイカーズデポの説明のように片方だけ立ち上げてもいいだろうし、宿泊地に立木や枝があればそれを使ってもいい。自転車か専用ポールのどちらか1つだけでもあればなんとかなるので、安心にも繋がりますね。リカバリーが効くからポールをデリケートに扱いすぎなくていいし。
次に慣れ。ツェルトの設営が難しく手間に感じるのは実際に設営したことがないからだと思いました。ロープワークや設営手順を覚えるところからのスタートだとやることが多くてそりゃめんどくさく感じるはず。だから無意識で設営できるレベルまで慣れ、経験を積めばなんとかなるんじゃないかと。ロープの色を前後で変えるなど設営しやすくする工夫もしつつ。
設営場所に制限がかかる
次に設営場所問題の解決。ペグが効かないだけなら岩や木を活用すればいいですが、加えてポールやペグの代用品になる資源がないような場所では自立式のほうが有利だと思います。たとえばアスファルトの上。
ただ自転車旅、バイクパッキングといっても山を交えたい。そして私は臆病者なので、わざわざ人の気配があるような場所には泊まらないはず。またポールの代わりとなる資源がない場所でもポール1本と自転車を活用すれば広場のど真ん中でも設営可能。
つまり町中のアスファルトのような「ペグが効かない+ペグ代わりのものがない」場所で張る可能性はかなり低い上に、ポール(自転車)を最低でも1~2本は持つため、設営場所に制限がかかってめんどくさい問題はかなりクリアできるはず。万が一資源がないアスファルト上で張ることになっても、自転車や装備をペグの代用にすればなんとかなりそう。
ファイントラックのツエルト2ロングを買った
こんな感じでツェルトの設営問題をクリアできる気がして、ファイントラックのツエルト2ロングを購入。
私は身長が低いのでツエルト1やツエルト2とも悩んだんですが、夏場での使用を考えると両側に出入り口は絶対にほしかったのでツエルト1は無し。ツエルト2はオレンジしかなく派手で目立つので無し。他社よりファイントラックは透湿性が優れている。ってことで自然とツエルト2ロングになりました。実績もありますしね。
ちなみに自立式のライズ1と使い分ける選択肢はありませんでした。私が想定してる環境はすべて無理せずツェルトで行けそうだったので、ならば使い分ける意味がない。
意味の薄い使い分けをするよりも、1つの道具を工夫をしながら年中使い倒すほうが好き。家に道具が増えるのも鬱陶しいし。
さっそく片方ポール、片方自転車で試し張りをしました。バイクパッキング×自転車にかなり手応えあり。