シングルスピード与太話

ひっくり返ったSURLY steamroller 自転車
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シングルスピードの自転車に乗り始めて、かれこれ1年が経ちました。FUJI FEATHERでシングルスピードに手応えを感じ、その勢いのままホコリを被っていたMTBをシングルスピード化

坂が多い地域で街乗りに使いますが問題なし。荒れた山道を走りますが問題なし。舗装路を100km走りますが問題なし。

つまりシングルスピードにハマっています。

そこで「なぜわざわざシングルスピードの自転車に乗っているのか」をいいかげんに、そしてちょっとマジメに考えてみました。

ひとくちにシングルスピードと言っても色々あるでしょうから、まあ運動不足の人間が街乗りからツーリングまで1年間のんびり乗った感想だと思ってください。

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「シングルが不便」ではなく、「変速が不要」である

フジフェザー

シングルスピードに乗り続けている理由を考えてみます。

まず「シングルスピードは不便だから楽しい」なんて一度も思ったことがありません。そもそも不便に感じていない。

「シングルスピードは楽しい」っていうのも違う感じがしています。人と違った自転車に乗りたいとか、天邪鬼だからとか、あえてのシングルとか、そういったニュアンスでもない。かっこいいからでもない。

ただただ変速が不要だから。

これに尽きると思います。積極的にシングルスピードを選んでいるというより、どちらかというと変速機はいらないからシングルスピードにしようという消極的な思考です。

変速がいらない理由

シングルスピードMTBと木材

私にとって変速が不要な理由を考えてみます。

まずシングルスピード化したMTBは元は2×10speedでしたが、変速なんていつも適当にしていたし、効率なんて考えたことはほとんどありませんでした。強烈な向かい風でもギアを落とさずゴリ押ししていたし、坂道もちまちまペダルを回すのではなく立ちこぎで抗っていました。体力ないくせにね。

また私の好みはロードサイクリングではなく、山岳サイクリングやパスハンティング、グラベルサイクリングなど未舗装路に偏っています。当然、転倒やディレイラーに枝が絡まるなど破損リスクが高まります。

つまり変速機が足かせに感じていました。未舗装路を好むと言ってもマウンテンバイクをかっ飛ばすようなものではなく、木々に囲まれたでこぼこ道をのんびり通りたいってだけなので、変速機は必須ではない。

加えて私は使いこなせない多機能や扱いきれないオーバースペックが嫌いです。それらの手に負えない感やただの無駄でしかない感がしんどくてストレス。逆に身の丈に合っているものはいい。だから大して使いこなせていないくせに繊細な変速機というやつがどうも好きになれない。

そんなこんなでシングルスピードに乗っています。

シングルスピードにこだわっているわけではないので、変速機が必要になればそういう自転車に乗ると思います。今は変速がいらない自転車生活をしているだけ。

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シンプル・イズ・ファンクション

モンベルのストームクルーザー

モンベルが掲げるコンセプトにファンクションイズビューティーとあります。それを借りて表現するならシングルスピードの自転車はシンプルイズファンクションです。

つまり「変速という機能がない」ということが機能である、と感じています。そしてそれは心理的に心地よいもの。

シングルスピードの魅力として「変速機がないからトラブルが少ない」、「メンテナンスが楽」などのメリットが語られることがあります。確かにその通りだと思いますが、そんなピンポイントではなく、もっとざっくりとした良さ、心地よさを感じています。

壊れるかもしれないという不安からの解放。そのギア1つでなんとかするしかない潔さ。できることが限られているからこそクリアになる手段と思考。

私は心配性だし完璧主義にハマりがちです。他人や情報に影響を受けやすい。だから情報を選別しないとあっという間に疲弊します。

シングルスピードであればそんな思考の罠にハマりにくい。雑にテキトーに付き合える。ベストを求めると苦しいが、ベターで良しとできる懐の深さがある。

表現が抽象的過ぎるし、自分でもシングルスピードの良さを噛み砕けていません。が、シングルスピードは心が軽くなる。シンプルさが心地よい。こんな印象を抱いています。

変速機があるからって深く悩んだことはないし、シングルスピードだからって悩みがなくなるわけではないですが、脳内爽快度が違うんですよねー。その爽快さはアドレナリンよりセロトニンな感じ。

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多機能より単機能が好き

自転車とツェルト

オーバースペック嫌いやシンプルイズファンクションの話は、なにも自転車に限った話ではありません。

・ハイテクスニーカーより地下足袋
・ダブルウォールテントよりツェルト
・スポーツカーより軽トラ
・マキシマリストよりミニマリスト
・ゴアテックスより透湿性無しポンチョ
・ストレッチパンツよりただのナイロンパンツ
・フルサスペンションよりフルリジッド
・たくさんの引き出しより1つの大きな箱

ここ数年、こういう生活や道具を好む傾向が強まっています。「そんなハイスペック必要?こういうのでいいじゃん」みたいな。諦めなのか、覚悟なのか、足るを知る的なやつなのかわからないけど。

ハイスペックが嫌いなのではなく、やりたいことや必要なことに対してオーバースペックなのが嫌い。公道でスポーツカーの馬力なんて活かせないから、軽トラのほうが好みってだけ。道具をちゃんと使い切りたいのです。

そういう自分の好みをたどると、シンプルなモノに行き着く傾向がある。そしてそういったシンプルなものは昔ながらの形をしていたり。

シングルスピードの自転車がしっくりくるのはまさに傾向通り。変速が必要になるほどのことはしていない。私にはシングルスピードがちょうどいいのだ。

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シングルスピードってなんだかマインドフルネス

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BLUE LUG bike shop(@bluelug)がシェアした投稿

上はブルーラグのインスタグラムの投稿です。

SURLYのクルーが「シングルギア=ZEN-禅-」と表現したそうです。この投稿を読んだ私は「なんか超わかるわー」とビビッときました(禅の理解が足りず解釈が違うかもしれないが)。

私にとってのシングルスピードって禅的でマインドフルネス的なんですよね。

小難しいことや小賢しいことを考えず、眼の前のこと、いまこの瞬間に注意を向けられる感覚が変速機付き自転車より強いというか。速さという煩悩、時間という雑念が介入しにくいというか。ゾーンで、フローで、没入というか。そしてそれはなんだか心地よくて。

速く走らなきゃと見えないなにかに急かされることも、余裕はあるはずなのに時間に追われる感覚も少ない。そのせいかサイコンも取っ払ってしまった。

そっか、シングルスピードの脳内爽快感の正体はマインドフルネスだったのかもしれない。

シングルスピードは怖くない

自転車を押している

FUJI FEATHERを買う前は「運動不足の自分にシングルスピードなんて扱えるのか」とビビってましたが、いざ乗ってみるとなんてことはなかったです。

変速機付きで100km、獲得標高1000m走ったときのタイムとシングルスピードでほぼ同じルートを走ったときのタイムも疲労感も大きな差はありませんでした(車種が違うから厳密な比較ではない)。

SURLYのシングルスピードMTBで旅をしてる方もいらっしゃるようです。

そもそも私は変速機を活かそうとしておらず、テキトーにガチャガチャしたりしなかったりな乗り方でした。そのため変速できなくなったところで大きな影響がなかったんです。

ちなみに私の脚力は運動不足のソレです。自転車なんて街乗りを除けば月に1〜2回しか乗らないし、筋トレやその他の運動もほぼしてない。ギア付きでも100km/1000mは6時間以上かかります。そもそも1日に100km走るなんて稀で、勇気が必要な距離です。150kmは走ったことないし、走り切れたとしてもヘロヘロで脚がプルプルになると思います。

けどシングルスピードとイイ感じで付き合えています。脚力なけりゃギア比を軽くすりゃいいだけですから。変速機付きに乗ったって脚力が増すわけでも、脚力以上の重いギアを踏めるわけでもない。

ま、シングルスピードに興味があるならひとまず今の自転車(変速無し縛り)でいつものサイクリングコースを走ってみたらいいんじゃないですかね。

変速機付き自転車が当たり前に普及しているから気づいてないだけで、本当は変速なんていらない人かもしれないよ。変速デトックスしてみようぜ。

少なくとも私は変速機を付けてた頃よりお気楽に自転車に乗ってます。そしてマディフォックスとフェザーを手放し、新たなシングルスピードバイクを迎えました。

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