担ぎの邪魔にならないダウンチューブ下の予備ボトル積載が課題でした。
・山までの自走区間でダウンチューブ下に積載したい
・自転車を長く担ぐなら前三角に頭を突っ込むパターンは採用したい
・「積載↔担ぎ」のモードチェンジが簡単でシンプル
この3つを満たした積載が私の脳みそでは難しい。
積載と担ぎだけならばダウンチューブ下にダボ穴を増設して山に入るたびにボトルケージを取り外せば済む話ですが、そんなめんどくさいことやってられない。そこで手間なく「積載↔担ぎ」のモードチェンジができるように担ぎパッド兼積載装置なんてのも試しました。プラダンでケージを自作したり、テントのフレーム収納袋を流用したりもしました。けどどれも理想には程遠く、使ってはお蔵入りばかり。
ところが最近よさげな積載システムができたので記事にしてみます。まだ軽くしか使ってないので荒削りですが、これまでの案とは違うレベルで積載と担ぎ、そしてモードチェンジの両立ができる可能性を感じています。
私の性格とやりたいことに照らし合わせた特殊な積載装置なので大半の人には合わないと思います。
ダウンチューブ下にボトルを積載したい
ダウンチューブ下の積載にこだわるのは、消去法と言っていいかもしれません。
ミレーのボトルホルダーを流用して、サドル下にボトルを積めるようにした。1リットルは余裕で積載可能。
プラダン泥除けとボトルホルダーを連結すると全然揺れない。既製のサドルバッグも泥除けと連結すりゃ揺れないし汚れないしで使いやすくなるかも。画像の黄色の紐で連結してる。 pic.twitter.com/NjO8n7XpEe— モージュー (@yama_chari) April 14, 2022
まず荷物が視界に入らないと不安になる人間なので、サドル下は論外。実際に試してそう感じました。試行錯誤のなかで積載装置と泥除けを連結することで荷物の揺れを抑えることができたのは発見でしたが、それよりも荷物の脱落が気になってツーリングに集中できませんでした。
前三角にFabricのケージレスボトル、ハンドル周りにバックパックをドカ積みは気に入っているため確定です。バックパック内やフロントフォークなどに積載可能ですが、前に荷物を寄せすぎるのはどうかと思い、できるならダウンチューブ下に積載を分散したいと考えています。
担ぎとの両立が難しい
自転車でタイベックをレインウェアとして使えるのかと疑問に思い下半身のみ試した。まず山にたどり着く前に濡れる。5分で尻、1時間で全体。けど風は防げるから冷える感じはなかったし、乗ってりゃ蒸れる感じもない。ただ担ぎで登り出すと蒸れるかな、雨が小降りになったこともあり脱いじゃった。 pic.twitter.com/IrarXRygXs
— モージュー (@yama_chari) August 13, 2021
これまで試したダウンチューブ下のボトル積載のほとんどは、前三角に頭を通して担ぐには適していませんでした。ボトル自体はバックパックに移せばいいんですが、どうしても積載装置自体が邪魔になる。ボトルケージなんて折ったり引っ掛けたりしそう。
プラダンで泥除け兼積載装置なんかもいくつか作りましたが、やっぱり担ぎの邪魔になる。
ただいろいろ試す中で、「柔らかい素材を使えば担ぎの邪魔になりにくい」ことに気づけたのは収穫。
「積載↔担ぎ」のスムーズなモードチェンジが難しい
「bikeguyのどこでもケージホルダーでダボ穴を増設しボトルケージを取り付け予備ボトルを積載。担ぎではケージホルダーごと外してバックパックのショルダーに取り付けて行動用のサイクルボトルを入れる」なんて案もありました。工具不要なので積載装置を丸ごと着脱するにしては手間は少なめです。
どうせショルダーにはボトルホルダーを別で付けていたので重量的に無駄がなく、ベルクロの簡易的なダボ穴増設を活かした積載システムで悪くないと思いました。
ただ900mlクラスのボトルをダウンチューブ下に積載するのにベルクロだけでは不安です。別のストラップを追加で使用することになるでしょう。
となると「積載↔担ぎ」のモードチェンジをするのに手数が多いというか、もっとシンプルにしたい。1つの道具に複数の役割を持たせるのは軽量化の基本でしょうが、もっともっとシンプルがいい。ボトルケージごと移動させるのはなんだか大げさ。
担ぎモードに移行する際に動かす荷物はダウンチューブ下ボトルだけではなく、前三角のケージレスボトル、ハンドル上のバックパックもあります。ダウンチューブ下だけではなく積載全体のことを考えた場合、各積載のモードチェンジの手数は少なく抑えたい。めんどくさいことが嫌いですからね。
「ボトル積載にこだわらなければいい案が浮かぶのでは?」と何度も考えましたが、ボトルは防水対策が不要かつ大きさの割に重いので、ダウンチューブ下に取り付けるならばボトルがいいかなとの結論に毎回落ち着きます。私は担ぎでは荷物をバックパックに集約するので、積載物の移動が必要になるのはいっしょですし。
積載装置兼担ぎパッド
テントのポール袋でダウンチューブ下に担ぎパッド兼泥除け兼積載装置。コードの絞り具合で担ぎと泥除けのモードチェンジ。900mlのペットボトルも入る。袋内は銀マットを仕込んでクッション性上げつつボトルの出し入れしやすく。保温効果もあるかも?思いつきでやったにしてはいい感じ pic.twitter.com/80fPRyUZ7x
— モージュー (@yama_chari) April 17, 2022
これまでの案でもっともマシだったのがこれです。
テントのフレーム収納袋にボトルを入れるだけ。柔らかい素材だから担ぎの邪魔になりにくい。
試すうちに収納袋がふにゃふにゃでボトルを入れにくいのが気になったので、銀マットをフレーム代わりに仕込んで改善。そこからさらに担ぎパッドにするアイデアが生まれました。邪魔にならないようにするのではなく、担ぎやすくするために使う。
ボトルを抜いたらバンジーコードを絞って収納袋をダウンチューブに添わせます。これで積載装置→担ぎパッドへのモードチェンジが可能。肩の負担を軽減できます。
ボトル無しでバンジーコードの絞りを緩めれば銀マットが開き泥除けにもなります。
やや手数が多いのは気になるところですが、銀マットをボトルの出し入れ改善だけでなく担ぎパッドとしても利用できてなかなかいい案でした。ボトルの保温保冷にもなりそうだ。
ただあまり好きになれなかったため正式採用には至らず。実用には関係ないんですが、なぜか気に入らなかった。この案をベースに煮詰めるのもアリではありますが、使いたくないものを使う必要はない。
積載装置→担ぎパッドの変形が鬱陶しいというか美しくないというか、そこまでしなくてもいいというか。たぶん複雑になるのが嫌いなんでしょうね。もっとシンプルに簡単に。
それにバッグ類は濡れると片付けが厄介です。ダウンチューブ下は跳ね上げた水を浴びるので、雨じゃなくても濡れます。毎度きちんと乾かす手間、そして放置するとカビが生えそうなのが嫌。
Voile Strap 20インチ×One Tie 14インチ×Bikeguy マルチホルダー
・山までの自走区間でダウンチューブ下に積載したい
・自転車を長く担ぐなら前三角に頭を突っ込むパターンは採用したい
・「積載↔担ぎ」のモードチェンジが簡単でシンプル
様々な試行錯誤を経て、とうとう以上の3つの要素を満たすような積載方法を思いつきました。まだまだ煮詰める必要はありますが、かなり気に入っています。柔らかい素材の活用など、これまでの試行錯誤は無駄ではなかった。
詳しくは後述しますが、2本のストラップと1つのパーツで構成しています。
マディフォックスMFB(2019)にWTBのHORIZON(650B×47)であれば900mlのボトルを2本積載できました。これまでの積載装置では1本が限界だったので、ボトルをむき出しでスリムな積載になった効果です。(上の画像のタイヤはチャオヤンのフライングダイヤモンド)
クランクとのクリアランスも充分。
通常のボトルケージほど出し入れしやすくないので行動中に使用するボトルとは相性が悪いですが、もともと取り出しにくいダウンチューブ下かつ予備ボトルなので大きな問題はないと思います。それに泥が付着しやすい位置と考えると飲み口がむき出しのサイクルボトルよりペットボトル類のほうが安心。
必要な道具と重さ
1本のボトルを積載するのに使用する道具は3点。画像左から、
・One Tie 14インチ(15.4g)
・Bikeguy マルチホルダー(付属のベルクロは除いて本体のみ10.7g)
・Voile Strap 20インチ(27.8g)
・総重量53.9g
900mlクラスのボトルを積載するなら悪くない重量だと思います(耐荷重や耐久性は不明だけど)。
たとえばミノウラのボトルケージAB100-4.5は38g。ここにダボ穴増設とボルト、ストラップを追加すると重量は同じか少し軽いぐらいですかね。少なくともトピークのモジュラーケージⅡ(72g)やブラックバーンのカーゴケージ(164g)よりは軽い。
使い方、積載方法
いい感じのダウンチューブ下ボトル積載システムができたかもしれない pic.twitter.com/kia43Kp2pJ
— モージュー (@yama_chari) May 4, 2022
上の動画の通り、One Tie(オレンジ)にボトルの口を差し込み、Voile Strap(ブラック)で固定するだけです。マルチホルダーをダウンチューブとVoileの間に挟むことでブレずに保持し、フレームを保護してくれます。
ONE TIEは1本で2つの輪っかを作れる再利用可能な結束バンドみたいなものです。片方はダウンチューブに、片方はボトルの蓋側を差し込みます。何も固定していなくても輪っかを維持できるのがポイント。
Bikeguyのマルチホルダーは赤いプラスチック系の枠と黒く柔らかいシリコンのようなパーツで構成されており、長辺側にストラップを通すことができます。
マルチホルダーにVoile Strap(スキー板の結束バンド)を通します。マルチホルダーにはベルクロのストラップが付属していますが、固定力と長さの問題でVoile Strapを採用しました。上の画像の場合、右の輪っかがダウンチューブ、左の輪っかがボトル側になります。
自転車無しで再現するとこんな感じ。
One Tieが下にずれないように、シートチューブやケーブル受けの位置に合わせています。ボトルがBBより下にはみ出てしまうのでぶつけないように注意。
担ぎに移行する場合はボトルを抜き取りバックパックの本体やサイドポケットに収めます。ボトルは泥に汚れているでしょうから、サイドポケットのほうがよさげ。
そしてVoile StrapのぶらぶらをOne Tieの付け根に挟むなりして処理します(少しめんどくさいから改善したい)。積載装置は取り付けたままですが、ボトルケージのような硬く大きい道具を使用していないので、前三角に頭を通す担ぎに影響は出にくいはず。
ONE TIEの輪っかは残るので、走行中に引っ掛ける可能性があります。そのような道を走る場合は、ONE TIEを絞って輪っかをなくすことができます。ただVoile Strapの処理と同じくめんどくさい。
また積載装置をバラしてポケットやバックパック内に移せば、ダウンチューブに何も付いていない状態にできます。工具不要なので手間は少なめ。やりたくないけど。
相性がいい900mlのボトル
当初はポカリスエット900mlのボトルを使用するつもりでしたが、過酷なダウンチューブ下には強度が少し不安。また仮にOne Tieが壊れた場合、ボトルが落下し後輪で乗り上げ事故に繋がる可能性もあります。人気のない林道の場合、怪我をして身動きが取れなくなる上に水を失い、最悪の事態も想定されます。
・クランクに干渉しないスリムな形状
・跳ね上げた石や泥をくらっても破損しない強度
・One Tieが外れてもすっぽ抜けない形状
こんな条件を満たすであろうボトルがたまたま見つかりました。上の画像の黒いボトル、美酢のボトルです。
スリムな形状でクランクには干渉せず、ポカリスエットより厚みがあり頑丈そうです。ポカリボトルより重くなりますが、ナルゲンボトルよりは遥かに軽い。
そして蓋から底にかけて太くなっているため、One Tieが外れてもVoile Strapのみで保持できます(最初からVoile1本のみだと横揺れと負荷が気になるためOne Tieは使いたい)。
オマケにビール瓶っぽさがありかっこいいです。
欠点といえば、美酢の臭いが取れにくいこと。そして真夏は日光でお湯になる可能性があること(バーナーが不要になる可能性あり?)。
改善案
この積載方法は私にとって完璧ではありません。もっと簡単に、シンプルにしたい。
ボトルをボトルケージ並に出し入れしやすくしたいし、ボトルを外した後のストラップの処理なんか特に改善したい。もっと楽したい。
けど今まででいちばん手応えがある積載です。「1度使ってはお蔵入り。ゼロから新たな装置を考える」というパターンがほとんどだったのに、この積載方法は何度も使ってますし、自然と脳みそがコイツをベースに改善案を考えています。だから自分の理想に少し近づいた実感がある。
さらに使いやすいシステムにするために試したことやアイデアがあるので、とりあえずザッと書いておきます。ここ最近、自転車に乗る気が起きないのでいつ試すかはわからないけど。
仮止め&保険にバンジーコード追加
積載するときの仮止め兼Voile Strapが破損したときの保険にバンジーコードを追加しました。フレームにバンジーコードの輪っかを作っただけですが、これがけっこういい。
One Tieとバンジーコードで一瞬でボトルを保持できるので、仕上げのVoile Strapの固定がしやすくなり、「積載↔解除」が簡単でスムーズに。バンジーコードにコードロックを追加すれば、ストラップ類の末端処理にも使えそう。
またOne Tieとバンジーコードでボトルの保持ができるので、Voile Strapが外れたときの保険にもなります。ONE TIEが破損してもVoile Strapと美酢ボトルで、Voile Strapが破損してもONE TIEとバンジーコードで保持できるので、どのストラップが破損しても即落下に繋がりません。
パーツが増えるのが気に入りませんが、これは引き続き採用しつつ改善案も探りたいな。ストラップの処理全般が課題だ。
One Tieのみで構成しボトルケージの使い勝手に近づける
One Tieの長いサイズをVoile Strapの代わりにすればいちいちバックルを穴に通すことなく、ボトルケージのようにボトルを差し込むだけで済むと考えましたが失敗。
ボトルが少しフラフラするし、One Tieの厚みや固定方法の影響でフロント側のボトルがタイヤと干渉しました。Voile Strapなら2本積載してもギリギリタイヤと接触しませんでした。
またVoile Strapでもいちいちバックルを外さなくともボトルを引き抜くことができると気づいたので、わざわざOne Tieのみで構成する理由はありません。重くなるし。
One Tieをロープに変更し軽量化
少し太めのロープなら輪っか形状を保てそうなので、ボトルの差し込みやすさはそのままに軽量化できるかもしれない。
またしっかり結び目を作れば、ロープが千切れない限りボトルが抜け落ちることはなくなります。ロープならダメージに気づきやすそうだし交換コストが大してかからないので、トラブル予防にも有効かもしれません。
反射材入りのロープを使っても面白い。
ダウンチューブに持ち手追加
ボトル積載状態で前三角やサドル下に肩を入れダウンチューブを掴む担ぎ方にやや影響があります。ボトルが邪魔でダウンチューブを掴みにくいんです。
がっつり担ぎ区間に入った場合はボトルをバックパックに移すので問題ありませんが、林道を積載状態で走行中に現れた肩入れ程度の担ぎしか必要がない場面でボトルを移動させるのはめんどうです。かといって無理な体勢で担ぐと疲労します。
そこでダウンチューブとシートチューブにロープを巻いて持ち手を作りました。ロープが指に食い込むので要改善ですが、短い担ぎであれば大きな問題はないと思います。ひとまずはこれで試してみる。
マルチホルダーを両面テープで固定して扱いやすく
ダウンチューブとボトルを共締めしてるので、Voile Strapにテンションがかかってないとマルチホルダーが浮いてズレます。積載していないときに限った話ですが、細かい使い勝手に響きます。
そこでダウンチューブにマスキングテープを貼り、その上から両面テープでマルチホルダーを固定してみようかなと。マルチホルダーが固定されれば自ずとVoile Strapの位置がバシッと決まるので、ボトルを積載しやすくなり、ストラップの処理も楽になるのではと考えています。
ただマルチホルダーの赤いパーツは硬さがあるので、位置を固定してしまうと担ぎへの影響が少し気になります。
すぐにできることだし原状復帰も可能なのでとっとと試せばいいんですが、めんどくさくて先延ばし中。
【番外編】フロントホイールをロックしてツェルトやタープ設営に使えるかも
自転車×ツェルトに手応えあり。サドルの高さを変更したり、ホイールを取り外したり、倒立させたりすることなく、MTBをポール代わりに設営できた。手間と破損リスクを抑えることができたのが良い。天井は少し低めだけど、現地でポールの代用品が見つからなかったときの保険と考えれば豪華よ。 pic.twitter.com/bzAcGBGeZj
— モージュー (@yama_chari) June 13, 2022
この積載システムをキャンプツーリングでツェルトやタープの設営に活用できる可能性があります。
以前、自転車をポール代わりにツェルト設営練習をしてました。その際にダウンチューブ下のVoile Strapでフロントホイールをロックしてました。
ハンドルやフロントホイールの安定感が増すので、自転車をツェルトやタープのポール代わりに使いやすくなるかもしれません。