化繊キルトを自作した記事でも触れましたが、化繊キルトに輪行袋(自転車を電車に乗せるための袋)の機能を付けようとしたら失敗しました。キルトとしても輪行袋としても使い勝手が悪くなりそうだったからです。あとは裁断サイズを間違えたり、加工がめんどくさかったり色々あって。
しかし輪行袋の機能をほかの道具に付与するというアイデアは諦めていません。輪行袋はサイクリングで使わないことがある割に重くかさばりますが、自走で帰宅が困難になった場合に備えていつも携帯しています。だからほかの道具と兼用して華麗に軽量コンパクト化に繋げたいのです。
これまではモンベルのコンパクトリンコウバッグを使っていました。当初はこのリンコウバッグを輪行以外の道具としても活用することを考えていましたが、どうもしっくり来ません。
輪行袋の有効活用といえばシェルターのグランドシートが思い付きますが、私はそもそもグランドシートを積極的に使いません。またリンコウバッグは袋状なので、グランドシートとしては二重に敷いてることになり、フロアの保護にしては過剰な気がします。
地面からの冷気を防ぐ効果は期待できそうですが、その重量分をスリーピングマットに置き換えたほうが効果はあるはず。こんな理由で、輪行袋兼グランドシートは無理矢理ほかの道具として使っている感じがあって、なんだかなあと。悪くないんだけどさ。
防寒着としてポンチョのように使用することも考えましたが、自転車前提だと使いにくそうです。腕を出せるように改造してもよかったんですが、どうしても無理矢理感が否めず、そこまでするのもなあと。
(輪行袋に落ち葉を詰めてマットを現地で作る作戦もあった)
やはり「輪行袋+ほんとうに必要な機能」を兼ね備え、それでいて使いやすい道具にしたい。となると輪行袋の袋形状を活かした道具と兼ねるのがよさそうです。そして思い付いた「ほんとうに必要な機能」は以下の4つ。
1.キルト(背面のない寝袋)
2.シェルター
3.エマージェンシーブランケット
4.ビビィ(シュラフカバー)
ハイキングとサイクリングを絡めた遊びをしてるので、これらの山道具のいずれかは日帰りにしろ泊まりにしろ必要なケースが多いです。
まずキルトはすでに失敗しています。イチから作り直せば使い勝手は向上しそうですが、そんなモチベーションはありません。
次にシェルター。たとえばツェルトの三角の形状やサイズは輪行袋としても使えそうです。しかし輪行袋としては大きすぎるし、作るのがめんどうなので無し。
本命はエマージェンシーブランケットとビビィです。
エマージェンシーブランケットは日帰りでも泊まりでも非常用としてほぼ必ず携帯していました。日帰りではビバークを強いられたときに備えて、泊まりでは大雨でシェルターの床からの浸水や想定外の冷え込みに備えて。
またビビィ(シュラフカバー)もビバークや、シェルターの結露や浸水からシュラフを守るのに使えます。自作の化繊キルトで結露は防げますが(たぶん)、大雨でシェルター内が浸水した場合はダウンシュラフを守りきれないので、今後はキルトに加えて非常用にSOLのエマージェンシーヴィヴィを持つ予定でした。
エマージェンシーブランケットでもいいんですが、封筒状のエマージェンシーヴィヴィのほうがシュラフを守るには使いやすいかなと思って。透湿性がないヴィヴィだと内部結露がひどそうですが、化繊キルトとの組み合わせなら、非常時だけでなく常用できる可能性もあるし。
つまりエマージェンシーブランケットやエマージェンシーヴィヴィは濡れや寒さ対策の最後の砦として常に持ち運ぶので、これらに輪行袋の機能を組み合わせれば、とても軽く一石二鳥な道具ができるのではないかと考えたわけです。
そして完成したのが輪行袋とビビィの機能を兼ね備えている道具、名付けて輪行ビビィ。
完成品
・重量95.4g(肩紐等は含まない)
・サイズ141×110(収納時13×9)
安い素材で軽量コンパクトな輪行袋、ビビィが完成しました。モンベルのコンパクトリンコウバッグ228.4g(本体のみ実測)とエマージェンシーブランケット82gは合わせて310.4gですが、輪行ビビィなら95.4gです。実に215gの軽量化になりました。
輪行ビビィの形状は、コンパクトリンコウバッグのように自転車の上から被せる形にしました。ショルダーストラップで自転車を持ち上げるので、袋そのものにはそこまでの強度は不要になり、素材を薄く軽くできます。
その素材はSOLのエマージェンシーブランケットを使用。防水かつアルミの輻射熱でビビィとしての機能も期待できるんじゃないかと。
モンベルのコンパクトリンコウバッグと比較
自作の輪行袋はモンベルのコンパクトリンコウバッグより一回り大きいです。ハンドルがかなり長めのMTB以外なら、だいたいの自転車は収まるんじゃないでしょうかね。
そして重さは半分以下、133gの軽量化に成功(どちらの輪行袋もストラップなどの付属品はなして計測)。収納サイズも半分程度になったでしょうか。
4つ重ねたポケットティッシュと並べるとこんな感じ。小さいよ
輪行袋としての機能紹介

風でパンパンになってる
自転車を収納するとこんな感じ。
フレームサイズが420、タイヤが27.5×2.8、ハンドル幅60cmのフルリジッドマウンテンバイクを収納してゆとりがあります。
裾はコードで絞ります。モンベルの張り綱を使用して、エマージェンシー道具としての幅を広げてみました。たとえばシェルターの張り綱が切れたとき、荷物を固定してるキャリアのバンドが切れたときに抜き取って代用します。
裾は地面と擦れて穴が開きやすいと思いますが、場所を選べば大丈夫そう。上の画像のような場所でも、優しく扱えばほぼ無傷でした。
※元々このエマージェンシーブランケットはタープとして使うために手を加えたことがあるので、そのときについた傷や穴は残ってる。制作途中、試しに自転車に被せたときに雑にやりすぎて穴を開けたことも
肩紐を通す穴は小さいですが、肩紐も張り綱を使うので問題ありません。そもそもビビィとしての使用を考えると、大きな穴は開けれません(浸水するから)。
肩紐をフレームと穴に通してから、輪行ビビィを被せます。
試しに輪行したときに肩紐穴付近が破れました。もう片方の穴が無傷ということを考えると、穴の位置が悪く負荷がかかり破れたんでしょうね。穴の位置を調整するか、穴を大きくするか。要改善
短辺の片側は紐で閉じるようにしてます。ビビィとして使うときは紐をほどいて、ここから出入りします(頭側になる)。輪行時はここから中を確認すれば、ホイールとフレームが変に干渉してないかなどチェック可能。この紐も張り綱ですが、麻紐に交換すればいざというときの着火材にできますね。
自転車を収納した状態で風がブワッと吹くと中身が見えやすかったので、紐の数を増やすなどして、もっとしっかりと閉じれるようにしてもいいかもしれない。
逆側の短辺はミシンで縫ってます。
ビビィとしての使用を考えると輪行袋にオイル汚れは付けたくありません。なのでスプロケットカバーやチェーンカバーとセットで使うのを想定してます。
ホイールの固定は再利用可能な結束バンドを繋ぎ合わせて行っています。これもまたエマージェンシー道具として活用できるかなと。
輪行で使う道具を適当にまとめるとこれぐらいのサイズ。丁寧に収納すればもっと小さくなるけど、現地ではめんどくさくて結局これぐらいのサイズになっちゃうかも。
輪行ビビィ単体を適当に畳んだ画像です。
それなりに丁寧に畳むとこれぐらい。
通気性がない素材なので空気を抜きながら畳む必要がありますが、空気の出口を意識しながら畳むとそこそこきれいに畳めます。
ビビィとしての機能紹介
・重量95.4g
・サイズ141×110(収納時13×9)
全身収まるには小さめですが、163cmかつ非常用なので長さはこれぐらいで問題ないです。 またモンベルの半シュラフに脚を曲げて肩まで入る策を試してるところなので、このサイズのビビィでも寝袋に入った状態でく肩まで入れますし、幅があって脚を曲げるには好都合。でかいサイズがほしくなれば、SOLの2人用のブランケットや、ブランケットを2枚縫い合わせて作ります。
ちなみにビビィとして使うには結露と浸水に注意が必要です。
まず透湿性がない素材なのでビビィ内の結露でかえってシュラフを濡らしてしまう可能性があります。そして肩紐を通す穴や縫い合わされていない辺、縫い目からの浸水が考えられます。
なにも考えないで使うと逆効果になりかねない。
結露対策
内部結露は縫い合わされていない長辺(輪行時の地面側)を天井側に向けてセットして対策するつもり。素材に透湿性がないぶん、ビビィを密閉せず隙間を開けて換気を促す作戦です。シェルターの結露は化繊キルトで、フロアからの浸水はビビィで防ぐような形になります。
一晩寝てテストしてみました。起床した時点で室内は6度。
ビビィで覆われていた足先は結露してました。また上の画像のようにしっかりめに覆われていた左側も少し結露あり。寝てる間にズレてしまったようです。一方で右側の結露はなかったので、換気して内部結露を防ぐ考え方自体は合ってそう。
ダウンと比べて濡れに強い化学繊維のキルトを併用しているため、この程度の結露であれば問題ないでしょうが、もっと濡れ対策をするなら足先上部に通気穴を開けてもいいかもしれません。
※タイベックシルバーで作る案もある。あまりに内部結露がひどければ、タイベックで輪行シュラフカバーを作ってみようかな
浸水対策
輪行袋としての機能を付与した弊害で、ビビィやシュラフカバーにしては防水性が低いです。自転車を被せる口(輪行時の地面側)や肩紐を通す穴から水が侵入し放題だから。
しかし輪行時の地面側を天井に向けてセットすれば浸水の可能性は減らせるはず。上述したようにこのセット方法は内部結露対策にもなるので、悪くない作戦だと思ってます。上から結露の雨でダウンシュラフが濡れる可能性がありますが、それは化繊キルトやレインウェアで防ぎます。
制作段階では、UL系バックパックのように口をクルクルと巻いて防水するつもりでしたが、口を天井に向けるほうがシンプルでいい感じ。ある程度の形ができてから思い付きました。
また肩紐穴は非常キットにいれてるダクトテープで塞げば充分かなと。テープに穴を開ければすぐに輪行袋として使えますし。
現地でうまく機能するかわかりませんが、結露の量やフロアの浸水具合、翌日の行動予定によっては、内部結露を割り切って使う、しっかりと密閉するorしない、フロアに敷くだけ、グランドシートとして、ビビィ上部の隙間に透湿性の高いレインウェアを掛けるなど、臨機応変に使い方を変えてみるつもりです。
素材はSOLのエマージェンシーブランケット
輪行ビビィの形状は、モンベルのコンパクトリンコウバッグのように自転車の上から被せるような形にするつもりだったので、強度はそこまで高いものでなくていいと判断しました。自転車を持ち上げて力が加わるのはショルダーストラップのみなので、袋そのものは強度よりも軽さ優先。
そこで選んだのはSOLのエマージェンシーブランケット。
・軽い
・小さい
・安い
・それなりの強度
・防水
・アルミの輻射熱
・すでに持ってた
・サイズがちょうどよさげ
・加工しやすい
・電車に持ち込んでも不潔感がない(派手だけど)
このような理由で選びました。
つまり軽くてポケットサイズ、防水かつ輻射熱も狙えるので、非常時に備え常に持ち運ぶ輪行袋やヴィヴィとして優秀かなと。
作り方
簡単にですが作り方をご紹介。
材料は、
・エマージェンシーブランケット
・張り綱(アットウッドのマイクロコードにしてもいいかなと思ってる)
・コードロック
・ダクトテープ
・ハトメ
・ミシン(ダクトテープで代用できるかも)
まずエマージェンシーブランケットの短辺両側に、ドローコードをいれる筒を作ります。ミシンで縫いました。
半分に折って、短辺の片方を縫います(ダクトテープでもいいかも。縫い目から浸水しなくなるし)。これはビビィの足側です。
逆の短辺にハトメを付けます(ダクトテープで補強した)。輪行時は紐で閉じ、寝るときは開放してビビィの頭側になります。

閉じるじゃなくて綴じるかも
ドローコードとか通して形にしたら、実際に自転車に被せて肩紐の穴の位置を決めて、ハトメを取り付けて完成(ダクトテープで補強した)。
改善案
近所で輪行、部屋でビビィとしてテストして、すでに改善したい点があります。
輪行では、
・肩紐穴の位置を調整
・短辺をもうちょいしっかりと閉じれるようにハトメを追加
ビビィとしては、
・シーム処理(縫い目から浸水するはずだから)
・内部結露対策に足先に通気穴
このあたりを改善したいと思ってます。
輪行で雑に扱うと破れるので、常用したときに不満が出る可能性はありますね。扱いだけ気をつければ超軽量コンパクトな輪行袋になり、そしてビビィとしても使えるので、自分がほひいものを作っただけあって魅力的なんですが、完璧ではない。
あまりに耐久性が気になるのであれぱ、頑丈なベビーデューティエマージェンシーブランケットを使う作戦もありますが、重くなるので難しいところ。
ここで書いた使用方法は想像の範囲の話なので、実戦で役に立たない可能性はありますが、とりあえず使ってみます。そして不満点を洗い出して、また作りましょうかね。今回作ったのはあくまで試作品なので。


