アラヤのフルリジッドMTB(マディフォックスMFB)に3年半ほど乗っていましたが、最近フジのピストバイク(FEATHER)に乗り換えました。
街乗り、舗装路、未舗装路、担ぎを伴う山岳サイクリングなど、私がやりたいことすべてをFEATHER1台でやるつもり。
全部を盛り込んで万能にしたのがマディフォックスならば、余計な機能を削ぎ落としたのがFEATHERというイメージです。
ピストバイクやFEATHERに興味がある多くの人とは動機が違いすぎて、なんの参考にもならないと思います。しかし自分の考えを整理する意味も込めて、FEATHERを選んだ理由を記事にしました。
何をするためにどんな自転車が必要か
最初にハッキリさせておきたいのは、何をするためにどんな自転車が必要なのか。
やりたいことは、普段の街乗りから近所のポタリング、舗装路と未舗装路を繋ぐサイクリング(数泊のキャンプを含む)、乗車できない山道でも自転車を担いで超える山岳サイクリングやパスハンティング。
レース性のある遊びは興味なし。日常生活に加えて、ツーリングや旅系をやりたい。
そしてこれらを1台の自転車でやりたい。
つまり必要なのは気軽に街に繰り出せて、舗装路、未舗装路を問わず走れて、山道の担ぎ上げが苦にならない軽量で丈夫な自転車です。
なかなか無茶な要求ではありますが、「ロードバイクのレースでもMTBのレースでも優勝できる自転車がほしい」なんて両極端なことは言っていないので、意外となんとかなる気もしています。
マディフォックスの不満点
舗装路、未舗装路、乗車不可能な山道の担ぎ上げ等、あらゆる環境を行ったり来たりして遊んできました。
マディフォックスはあらゆる道に対応でき、私の遊び方には合った自転車だったと思います。セミファットからスリックタイヤまで履かせて遊んで、やりたいこと、やりたくないことを見極めるのに役立ってくれました。
しかし不満もありました。
・13kgを超える重さ
・変速機に枝葉が巻き込まれる煩わしさ、故障の不安
舗装路や未舗装路を乗車する分には許容できた不満ですが、自転車を担ぎ上げる山岳サイクリングやパスハンティングという遊び、加えて心配性でめんどくさがりな自分には合っていない点でもあります。
そして興味を持ったのが、ギアが1つしかないシングルスピードです。
シングルスピードのシンプルさに惹かれた
シンプルな道具が好きです。
山道具では、火器はガスではなくアルコールストーブを、テントはダブルウォールではなくツェルトを使っています。靴は防水登山靴ではなく昔ながらの地下足袋やハンティングブーツを履いてます。ゴアテックスのような高機能な防水透湿素材は使っていません。
懐古主義というわけでなく、機能的にそうあってほしいからです。
荒れた林道をガタガタと走るとガスストーブは故障が不安になります。なら踏みつけでもしない限り壊れないアルコールストーブがいい。
私が泊まる環境はダブルウォールテントほどのプロテクションは不要でただただ重いだけ。ならそれなりの防御力でいいから軽いツェルトのほうがいい。
ゴアテックスを搭載した靴は外から見ただけじゃ故障してるかわからない。なら別の方法で濡れと付き合ったほうがいい。
自分の性格や遊ぶ環境では、シンプルな道具のほうがかえって優れていることが多いんです。そしてそのシンプルな道具を使いこなしたい欲求があるんです。
シンプルさに惹かれる流れが自転車にも来たんでしょうね。
たった1つのギア、そのシンプルさゆえに軽くて丈夫な自転車。
シングルスピードが向いてる理由
シングルスピードに惹かれ始めたものの、「どうせしんどくて無理だ」としばらくは真剣に検討すらしていませんでした。しかし試しに自分にシングルスピードが向いてる理由をあえて考えてみると、意外にも道具として合っているっぽい。
シングルスピードに乗りたいという気持ちがあるので甘〜く考えています。そしてシングルスピードに乗ったことがない人間が想像した話です。
故障しにくい
マディフォックスを購入したての頃、ウイリーの練習で転倒して変速がうまく機能しなくなりました。
当時はディレイラーハンガーという言葉も知りませんでしたから、なかなか原因がわからず苦労しました。
しかも清水の舞台から飛び降りる気持ちで10万円の自転車を買ったばかりなのに、ディレイラーハンガーという小さいパーツ1個のために5000円の出費が重なったことで、自転車ってめんどくさいなという気持ちに。
その後は林道サイクリングや山岳サイクリングなどをちょこちょこするようになります。
枝葉がディレイラーに引っ掛かるんですよね。致命的な不満ではないですが、ずっとちょっと不満。転倒すれば変速がイカれる可能性と隣り合わせで、規格が統一されていないハンガーはいつかは入手できなくなるというのも、心配性な自分はめんどくささを感じていました。
その点シングルスピードにすれば、それらの問題が大きく改善するだろうと。
ディレイラーの出っ張りがないため枝葉を引っ掛けにくいです。転倒しても壊れるディレイラーハンガーがなく、規格が統一されてなかろうと関係ありません。
故障に強いシングルスピードなら心配性な自分でも楽しく遊べるんじゃないかと。シンプルがゆえの強さ。
お金をかけずに軽量化ができる
山道具も自転車も軽量化をしたい。山を登るにも輪行するにも、装備が軽いほうが快適です。しかし物を軽くした分、お財布も軽くなるのはよく言われるところだと思います。
私は高価、希少な物を改造したり、泥まみれにできる性格ではありません。せこいのでどうしても売るときのことを考えてしまします。心配性なので盗難を恐れて登山口に放置なんてできません。だから高価な物、希少な物はできるだけ所持したくない。どうせ楽しく扱えないから。
つまりお金をかけずに軽量化を果たしたい。
その点、シングルスピードはいいですよね。高価なパーツに交換するのではなく、パーツを減らすことで軽くなるのでお金がかかりません。
シンプルがゆえに軽いというのもグッと来るんです。高機能で高価な素材を使わずとも軽くできる。これはアルコールストーブやツェルト、地下足袋、UL(ウルトラライトハイキング)にも通ずるところではないでしょうか。
遊び方に合っている①
まとまった時間がなかなか取れないので、近所をサッと流して1〜2時間で帰宅するパターンが多いです。買い物を含めて。遠くの地、林道、山岳へ行くならば積極的に輪行をして限られた時間を有効活用したいとも思っています(マディフォックスは重くて輪行する気にならなかったけど)。
つまり舗装路を長距離走ることが少なく、なんならそんなモチベーションもありません。
街乗り以外で自転車に乗るようになったのは、
自然が好き→キャンプはつまらん→登山はいいが車で行くのは嫌→自転車で山に行こう
というのが動機なので、そもそも舗装路を走ることを楽しみに自転車に乗り始めたわけではありません。あくまで自然へのアプローチ、移動手段としての自転車です。今でも舗装路を楽しく走るという感覚がいまいちピンときません。以前は「舗装路も楽しまなきゃ」なんてプレッシャーを勝手に感じていましたが、最近はそんなのどうでもよくなってきました。
だから輪行を活用したとすれば、舗装路を走るとしてもせいぜい片道10~50km、往復100kmです。
つまり近所をサッと流す、輪行+数十キロのサイクリングならば、シングルスピードでも必要十分な可能性があるなと。仮に1週間ほど時間が取れたならば、輪行を使いつつ、のんびりと旅すりゃいいかなと。
遊び方に合っている②
林道や山岳区間に入ってからもシングルスピードで行ける気がしました。
まずMTBに乗って感じましたが、アドレナリンドバドバなダウンヒルを楽しめない性格のようです。
マディフォックスに乗る前は興味がありましたが、実際にトレイルを走ると「なんか違うな」と感じました。ジェットコースターにも興味がないので、どうやらレースやスリルとは縁がないようです。
それに登山のアプローチのために自転車に乗り始めたので、山では自転車に乗れなくてもいいっぽいんですよね。マディフォックスを山頂まで担ぎ上げた後の下りの乗車率が1%であっても楽しめてました。山では自転車を担いで踏破できればいい、走破できなくてもいいみたいです。
(まったく乗れないとわかってる山かつピストンなら担ぎ上げたりしないと思うけど)
だから「山道を押し担ぎ、路面がよければのんびりと乗る」というのができれば満足できそう。つまりシングルスピードでも行けそう。むしろ故障のしにくさや軽さが活きそう。
シングルスピードはやっぱり不安
ここまではシングルスピードのことをポジティブに考えてきましたが、やはりギアが1つしかないのは不安です。
・峠を超えるのに押し歩きで時間がかかりすぎるんじゃないか
・疲労で動けなくなったらどうしよう
・林道で乗れなさすぎて嫌になるんじゃないか
・山は踏破できればいいと言いつつやっぱり乗れるなら乗りたい
・家の周りは坂だから買い物に行くことすら億劫になるんじゃないか
・シングルスピード1台でやりたいことをやれるか?(複数台は管理できないから持つなら1台と決めてる)
こんなふうに不安や心配はあります。
ただシングルスピードへの興味には抗えませんでした。
シングルスピードが合わなかったらまた乗り換えればいいだけなので、腹をくくって気軽に挑戦することにしました。
FUJI FEATHER か CINELLI TUTTO
自転車のジャンルはピストバイクから探しました。
私の遊びにはMTB系ほどの剛性は不要で重いだけだろうし、逆にロード系は華奢で心配。
ピストならトリックで衝撃が加わる遊びをしてる人たちがいるから、適度に頑丈でちょうどいいかなと思いました。シングルスピードといえばピストというイメージもあるし。
安めのピストバイクをザーッと見て、以下の2台が最終候補になりました。
・FUJI FEATHER
・CINELLI TUTTO
FEATHERは10年ほど発売され続けていて、定番の車種。気持ちはFEATHERに傾いています。重量も価格も雰囲気もバッチリで、即決でもよかったほどです。
定番のため、もし壊れても盗まれてもまた同じ車種(個体は違えど)を購入できる安心感もいい。日常生活で着る服も数十年と販売され続けている定番品から選んでいます。汚しても同じものを入手できるからです。FEATHERなら心置きなく使い倒せるでしょう。
ただ1つ引っ掛かったのが、履けるタイヤの太さ。未舗装路も走るため、ある程度のタイヤの太さはほしくなります。FEATHERのフレームの場合、32Cがギリギリ履けるかというところでしょうか。もっと太いタイヤを履きたくなるかもしれない。
CINELLIのTUTTO(plus)に惹かれた理由は太いタイヤを履けるから。ただそれだけ。TUTTOは40Cまで入るので、そこそこ快適に未舗装路も走れるだろうと。しかし小柄な自分にはフレームサイズが大きい。そして値段も入手性も悪くなる。
気兼ねなく使い倒せるFEATHERに決めた
より気兼ねなく使えるFUJIのFEATHERに決めました。
これまでやってきた遊び方を考えると、必ずしも太いタイヤは必要ではなかったからです。
セミファットは山までのアプローチがだるくて使わなくなりました。38mmや47mmのタイヤはよかったですが、未舗装路の走破性をそこまで重視していない自分はもっと細く舗装路寄りのタイヤでいいはず。
実際にマディフォックスのカスタムはMTBから離れ、どんどん舗装路寄りになっていっていました。
山道を乗れなければ押し歩き、時に担げばいい。山を走破ではなく踏破が目的なら、極論タイヤはなんでもいい。
自分には太いタイヤは必要ない。やりたいこと以上の万能性はいらない。余計な機能を削ぎ落とした自転車のほうが性に合ってる気がする。
だからFUJI FEATHERに決めました。
もちろん未舗装路の走行性能を無視してるわけではなく、FEATHERでもある程度は走れるだろうと考えています。
「自転車パスハンティング」によると、ロードバイクでダート走行する場合は28~32Cが狙い目らしい。その程度の太さならFEATHERでも許容範囲っぽい。30Cのスパイクタイヤもありましたし。
ほかにもFEATHERを700C→650Bにサイズダウンしてより太いタイヤを履けるようにしてる人もいます。
工夫次第でそれなりに未舗装路も行けるっしょ。
不安なのは700cサイズのタイヤが担ぎで取り回しが悪そうってとこですね。まあだめなら650bのホイールに交換してみます。
まとめ〜FUJI FEATHERを選んだ理由〜
・シングルスピードのシンプルさに惹かれた
・シンプルが故に安く軽く壊れにくいのにグッときた
・舗装路を長く走ることはしないためシングルスピードでも問題ないだろう
・未舗装路を含んだ遊びをするが、MTBやTUTTOほどの走破性は不要
・気軽に扱えるFEATHERが適任
なんでもできるように全部盛り込むのもいいけど、やりたいことを見つめ直して、それに合わせて削ぎ落としてシンプルにした自転車に乗りたい気分です。
マディフォックスは万能だったと思うけど、持て余してたのも事実。今度は削れるだけ削った自転車に乗るよ。
あまりまとまりのない記事になりましたが、まあこんなイメージでFEATHERを迎え入れました。
※ジオメトリーの影響とかピンとこないのでほとんど考慮してません。前三角に頭入れて担げるかなーとか足付くかなーとかしか考えてません。
カスタムスタート。まずはタイヤ交換から