つい最近、ミシンを買いました。登山と自転車を合わせたような遊びをしているので、既製品では痒いところに手が届かないことがありました。そこでイチから作ったり既製品を改造して、自分にとって使いやすい道具を作りたいと考えるようになったんです。
以前、ミシンの代わりにダクトテープを使用してシュラフカバーなどを作ったこともありますが、軽量な素材を使ってもダクトテープで重くなってしまいました。それで数ヵ月悩んだ後、ミシンを購入しました。
ミシンで作る道具第1号は化繊のキルトにしました。シェルターやシュラフカバー内部の結露からダウンシュラフを守るために、またダウンシュラフのブーストのために前々からほしいと思っていたんです。ダウンより水に強い化学繊維の中綿と背面のないキルト形状を採用することで、結露に強く、軽く仕上げる計画。
化繊キルトと組み合わせるダウンシュラフはモンベルの半シュラフです。背が低い利点?を活かして、半シュラフに丸まって全身入って軽量化する作戦。山で仰向けになるとなんだか不安になり、どのみち丸まって寝るので問題ないはず。(半シュラフを買ってからまだ山で丸まって寝るのを試せてない)。
だから上に重ねる化繊キルトは短くていい。けど脚を曲げる分だけ幅は広くほしいし、ダウンのロフトを潰さないようにゆったりとしたサイズは必要。さらに保温ではなく結露を防ぐのが主な目的なので、中綿は薄くていい。
つまり軽く、短く、幅広で、薄い化繊キルトがほしい。もっと言うと、使用感が不明なため安く試したい。
となると既製品には候補がない。化繊のキルトはあっても、重かったり、長かったり、細かったり、厚かったり、高かったり。ENLIGHTENED EQUIPMENT は本国のサイトからカスタムして購入できるので、ショート&ワイドかつ中綿を薄くすることができて、かなり好みの化繊キルト。だけど高い。
「中古で安く出品されるの待つか」なんて思ってたら、たまたまフリマアプリで軍もののポンチョライナーを発見しました。その名前の通り、ポンチョの内側につけるものらしい。中綿は化繊で薄そう。さらに大きなブランケットのような形なので、好みのサイズにカットすればお手軽に化繊キルトを作れるんじゃないかと閃き、自作することに。
完成品はこんな感じ
完成した化繊キルトはこんな感じ。
・重量305g
はじめてミシンでの道具製作ということもあり、ベースはシンプルなブランケット型に。短辺側の両端にゴム紐を仕込み絞ることで、キルトのように使用できるようにしました。開くと長方形のブランケットになります。
ゆったりとしたサイズなので、モンベルのダウンハガー800ハーフレングス#1のロフトを潰すことなく使用できます。なかなかカッコいいじゃん。
足側は絞りっぱなしですが、ゴム紐を長いものに交換してコードロックを追加すれば、ブランケット型に変形できます。キルトとしての使用がメインなので、とりあえず絞りっぱなしの仕様にしてみました。
裏側はループに通したゴム紐でマットと固定しました。
収納サイズはモンベルのハーフレングス#3のスタッフバッグにゆとりをもって収納できるぐらい。
簡易的なシュラフカバーと防寒着の機能を合わせてこの収納サイズ、重量305gならいいかな。ハイカーズデポのトップキルトは360gなので、重量だけ見たらかなり軽い。自作のほうが保温性はないはずだし、そもそも小さいから軽くて当たり前だけど。
作り方のかんたんな説明
作り方は説明するまでもないほど簡単です。たしか作業時間90分ぐらいでできました。
1.ポンチョライナーをダウンシュラフやマットと合わせながらサイズを決めて切る
2.切断面にバイアステープを縫い付ける
3.マットと固定するためのループを縫い付ける
4.短辺両側にゴムを通す
切断するサイズさえ間違えなければ楽勝です。ミシンでまっすぐに縫うだけですから。
ちなみに163cmかつ多少丸まって寝る前提で、ポンチョライナーのちょうど半分で完成しました。なので1つのポンチョライナーでキルトを2個作れます。
ループの大半はポンチョライナーに付いてたものを流用したので、新たに取り付けたのは一ヶ所のみ。モンベルの張り綱を短く切って縫い付けました。
ベースにしたポンチョライナーは軍ものなので破れがありました。余ってたタイベックの端切れを縫い付けて補修。あえて補修箇所が目立つ生地にして、キルトをセットアップするときにどちらの向きか一目でわかるように印としました。端っこが破れてたからちょうどよかった。バイアステープも同じ理由で黄色にしてます。
MYOGや自作よりも改造の表現のほうが近いかも。
想定してる使い方
結露を防ぐキルトとしてだけでなく、羽織ったり、腰に巻いてスカートのようにもできます。テント内だけでなく、体が暖まるまでの短時間なら行動時にも使えそうです。
私の場合、行動時に中綿の防寒着を着た経験はないので、ダウンジャケットやダウンパンツを省いて化繊キルトのみにするつもり。テント内ではダウンシュラフと化繊キルトで全身を保温できるので、ジャケットやパンツを省いても問題ないかなと。
「内部結露を起こしにくいシュラフカバー+防寒着=化繊キルト305g」にまとめることができ、それぞれ単体で持つより軽くなると思います。たとえば「SOLのエスケープライトヴィヴィ156g+モンベルのスぺリオダウン上下414g=570g」なので、265gの軽量化です。
もちろんエスケープライトヴィヴィより防水性は低いし、スぺリオダウンより保温性は低いはず。しかしシェルター(ライズ1)の中ではエスケープライトヴィヴィほどのプロテクションは必要ないだろうし、行動中にモコモコの防寒着は着ない。なら化繊キルトに機能をまとめちゃえと。
とまあ、こんなことを考えて化繊キルトを作りました。シュラフカバーや防寒着、単体など通年使えそうなので、化繊キルトをベースとしてスリーピングシステムを構成するつもり。試さないとどんなもんかわかんないですけどね。あくまで想定の話。
ぶっちゃけほとんど泊まりに行けてないから、シェルターのライズ1もモンベルのシュラフも使用感がいまいちわかってないんですよね。結露や保温性とか。だから想定外に結露しまくって化繊キルトじゃ対応できない事態も考えられます。
そのへんも含めてとにかく早く試したい。
輪行袋の機能を付けるのは失敗した
元々は化繊キルトに輪行袋(自転車を電車に乗せるための袋)の機能も付ける予定だったんですが、いろいろあってやめました。代わりにSOLのエマージェンシーブランケットで、輪行袋とビビィの機能を兼ね備えた「輪行ビビィ」を作りました。こっちのほうがキルトとしても輪行袋としても使い勝手がいいんで、結果オーライです。
化繊キルトは結露程度なら防げると思ってますが、大雨で床下から浸水した場合は厳しいはず。輪行ビビィを併用すれば、床下からの浸水も上からの結露も防げるんじゃないかなと考えてます。
6℃の部屋で試した
自作の化繊キルトと輪行ビビィ、そしてモンベルのハーフレングス#3のテストを部屋で行いました。輪行ビビィとハーフレングスの感想はまた別の記事で書くので、化繊キルトのテスト結果を書きます。
就寝前は室温11℃(22:00)、起床時で室温6℃(6:00)でした。シェルターのライズ1は外気温と5℃の差をつくれるので、実際に山で使った場合の最低気温は0℃程度でしょうか。
改善すべき点はあるけれど、結露を防ぐ目的としては機能してくれました。
輪行ビビィ内に発生した結露を化繊キルトが受け止めてくれたおかげで、ダウンシュラフが濡れることはなく、朝まで暖かな状態でした。結露の程度にもよりますが、今回のテスト結果を山でも再現できるなら雨の連泊も可能だと思います。
一方で改善したい点もあります。
・肩まわりの防寒強化→冷気が入り込まないようにしっかり固定+肩まわりにダウンを追加
・マットの頭側へのズレ→ループと紐を追加してマットとしっかり固定
・結露が多かった足先は裏地まで湿っていた→ビビィの改良と平行して、全体的に撥水加工したい
改造したらまた書きます。
※自作ギアが狙い通りに機能するとうれしいね
↓輪行ビビィの記事書いた